沁みるお話

2012-12-01-162725

先日、お産の家吉村医院元婦長であり、北海道にて今も現役で活躍されている助産婦(ここは敢えて)岡野眞規代さんの講演会が茶ノ縁主催でありました。

実は私、一人目は里帰り出産。自分の母親についていてもらいたいという思いで、産む場所として選んだのは普通の病院。

そして、二人目も上の子と主人がすぐに来れる場所をと考えて比較的近くのこれまた病院で出産をしたので、どこかで「私は自然なお産を選ばなかったから・・」という、どこか自分を責める気持ちがあって、何度も岡野さんの講演会に参加する機会はあったのに、参加できなかったんです。

当時は色々と考えた結果家族がそばにいる環境というのを選んだ、それが最良のものだと思っていたけれど、もし病院で産むことを責められたら、きっと自分が辛いだろうなと勝手に思い込んでいたのです。

確かに、自然出産っていいなあって思う。

けれど、それ以上に私には家族の顔をすぐに見ることができる環境というのがなによりも重要だった。近くに思うような助産院がなかったので、選択肢にも上がりませんでした。

冒頭で、岡野さんが「過去に自分の選んだ選択が間違っていたと思う必要はない。自然出産をしなかったとしても、親子の関係はそれからいくらでも建て直せるから」とおっしゃってくださって、心からホッとした自分がいました。
でも、もし私が出産前に岡野さんのお話を聞いていたら、病院で産んだとしても薬の選択、治療の選択など色々と出来たことがあったかもしれない。知ってるのと知らないのとでは、大きすぎる、天と地ほどの差があると。

そして、産まれてきた赤ちゃんが病院ではなぜ目を閉じたままなのに、お産の家ではすぐに目を開けるのか。それは、病院は分娩室も新生児室も蛍光灯の明かりが消されることはなく、赤ちゃんは眩しくて目を開けないんだってことも初めて知りました。 そして、お産の家で産まれて来た赤ちゃんの表情にもビックリ。

私が知っている産まれたての赤ちゃんは、まだどこかぼ〜っとしているのに、お産の家で産まれてきた赤ちゃんたちはみな「やっほ〜い!やっと外に出れたぞ〜!」ってキラッキラしてる。なぜここまで違うのか。吉村医院では、妊娠期間の親子関係をとても大切にするようにとお母さんたちにアドバイスされているそうです。ここで産むお母さんたちは、十分な準備をして出産に臨みます。スクワットを一日300回以上する上に、薪割りや山登りなどもするそうですよ。ここまで赤ちゃんの表情が違うと、やっぱりどれほどマタニティライフの過ごし方が大切か納得せざるを得ない。

しかし岡野さんのお話は、そんなお産のことだけではないんです。

生き方すべてに繋がっているから、お子さんがいる方にも、まだ産む予定のない方にも、独身の方にも、そして男性にも聞いていただきたいんです。

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講演会が進むにつれて、みんな前のめり気味に。

終わった途端どかっとトイレに駆け込んでいたところを見ると、みんなトイレすら我慢して聞き逃すまいと真剣に聞いていたんだと思われます(笑)

長くは生きられないと知っていて、その生を選んできた赤ちゃんのこと。
そして長くは生きられないと分かっていて、わずか12時間を精一杯生きるんだと生まれてきた我が子を笑顔で迎え入れ、そして見送ったお母さんの表情が忘れられません。

生まれることと死ぬことは背中合わせで常に一緒に存在している。

だからこそ精一杯楽しくたくさん笑って泣いて感動して、生きていかなくちゃね。あとどのくらい生きられるのか、誰も分からない。だったら毎日楽しく生きていた方が絶対いい!そして、結果よりもどう生きてきたかのプロセスがなによりも大事だと。

それをよく表現している画像も見せてくださいました。赤ちゃんが産まれて恍惚とした表情のお母さんと、喜びの表情の裏にどこかしら冷静さも見て取れるお父さん。出産に向けて10ヶ月赤ちゃんと共に準備をしてきた母親には出産を終えた後の感動が父親の何倍も大きい。そこには明らかな温度差と(笑)そのプロセスを実際に積んで来たからこその母親へのギフト(感動)がそこにはありました。

そして、このところこどもたちと別々に寝た方がいいのかどうかを考えていた私に、とてもタイムリーなお話も。

西洋的な考え方が日本に入ってきて、早いうちに一人で寝かせる方が早く自立するって言われてるけど、昔の日本の様に川の字で寝るのがこどもにとってとても安心して眠れる環境だと伺って、彼らがもう十分って言うまで、出来る限りたくさん触れ合って眠ろうと思いました。
親のそばで眠るという幸せを十分に与えてあげること が愛情を育むのにとっても大事だと。そして、自分も本当はそうしたかったということにも気が付きました。

私が聞いてきたことをここにすべて書くことは難しい。

実際に何度も腑に落ちるまで聞いていただきたいお話です。
こどもを産むか、産まないかということを大きく超えた、生き方のお話をされていたような気がします。

また茶ノ縁で企画した際にはお知らせしますので、もう岡野さんのお話は絶対!直接聞いてみてください!

cocomiu
cocomiu (as a designer and an illustrator) lives in Tokyo with my husband,daughter and cats. likes taking photos, doing yoga and shopping.